necessary

ハマったものについて書いたり書かなかったり。

谷垣過去話周辺について(続8巻感想)

応募しましたし届きましたし変態だし(ゴールデンカムイ8巻感想) - necessaryからかなり日にち空いちゃいました。ぐだぐだ感想の続きです。そういやゴールデンカムイ軒ですが、当たり前の如く外れました。応募が15039名で当選者70組140名。そら無理や。空けておいた22日は家で穏やかに過ごします……。
お、いつの間にか電子書籍版の8巻表紙が表示されてる。

今回は谷垣さん。初っ端から子供用のおもちゃで負傷するうっかり谷垣。リュウも呆れとるわ。こういう後ろで呆れ顔(真顔で見つめる)みたいな構図がすごく好きです。ゴールデンカムイはこれが多くて素晴らしい。その後の女の季節でもセリフはないけどちょこっと出てます。微笑ましい。


そして足が治ったのか弾を買いにアシリパの叔父さんと街へ。さっきのシーンで元第7師団表記になっていたけど軍服は着続ける。まぁ軍服着続けてるのは杉元もキロランケも尾形もだから当たり前に近いというか、そういうもんなのかな。通ってた学校のジャージ、家で着てます的な。

そしてインカラマッちゃんの噂を聞きつつシカ及びチカパシくんと遭遇。野田先生のブログで補足されていた部分ですね。偶然後押しするような新事実を知る、っていいですよね。孤児とは言ってもわりと健やかに(少しエロに魅せられ過ぎているものの)育っている模様。精神年齢が実年齢を上回ってそうなアシリパさんと比べるとがきんちょ感が強めですが、実年齢も下っぽいし何よりこの年頃の女子と男子じゃ精神年齢の差があるなんて普通でした。ただこの話もチカパシの家族の話も、チカパシ(少年)以外が皆死んでしまうって悲しいですね。死に関してだけは他の子供たちより精神年齢上でしょう。というかすぐにでも友達作れそうな性格に見えるのにいつも一人で遊んでるってやっぱいじめとか、他の子供たちと違う疎外感とか色々あるのかなぁ……。自分以外の家族を病気で亡くすパターンは杉元と被ります。

ここ(鹿をお土産にして帰るシーン)で谷垣ニシパが相当『勃起』をお気に入りな事が判明します。いや、VS尾形の時も言ってましたけど、本当に受け継いだんですね。真面目そうな人がこういう下ネタ言うのはなんだか助っ人外国人が下ネタ教えられて連呼する→皆笑う→皆が笑ってくれて助っ人外国人も笑顔みたいな微笑ましさと一抹のいたたまれなさがあって萌えます。「親父が真面目でうるさい」とか回想で言ってましたが息子も親に似て十分真面目だと思います。律儀というかクソ真面目というか。もし周りにいる真面目そうな人から勃起なんて単語が出てきたら動揺します。

そんでインカラマッちゃん登場。後でわかりますけど裏で鶴見中尉と繋がってるからこの村へ来たんでしょう。聞き込みしてたのはその方が疑われにくいから?
てか妹が亡くなってるとか、アシリパちゃんのお父さんが亡くなってるとかは鶴見中尉他から聞けば分かりますが他の占い(例えば草競馬)も当てているインカラマッさん。マジ者の占い師なのか、裏があるのか、努力の賜物なのか。個人的にインカラマッちゃんは裏があるにしてもちやほやされる為に結構努力してる人だと思います。笑顔振りまくのもええかっこするのも大変だよ。まー少なくともフチ達のコタンには確実に中尉の部下がいるんだろうからそこからなんらかの情報は得てるんでしょうね。
顔に傷や競馬場の別れ際の台詞といい、アシリパ父との繋がりが気になるところです。その繋がりを考える上でインカラマッちゃんがいくつなのかがまた気になるところですが、なんだか年齢不詳。もしかしたら大人っぽく見えるだけな江渡貝くんと同じくらいのお嬢さんかもしれないし、結構上の場合もある、アラサーもあり得る。でもピチピチギャル(死語)であってほしい。大人のアイヌ女性がするらしい口の入れ墨は多分してますよね。

で、何言うかというと……。うーん、インカラマッちゃんの言葉は草競馬の時からだけども、どことなくアシリパちゃんへの敵意を感じる。でも100%悪意ではない感じ。
後の回想中尉曰く「利用すればいい」だから理由はどうであれ谷垣と杉元・アシリパ一行を合流させるのが目的みたいです。土方一行と合流しているのまで予想してこうしたなら用意周到すぎる。少なくとも尾形と谷垣が合流したらひと悶着あるし。土方一行の動きを探る為もあるかもしれない。
鶴見中尉の目的はなんとなく分かるけど(とにかく混乱させたい?状況わやくちゃにしたい? アカン、正直分からん)、インカラマッちゃんは谷垣を合流させてどうしたいんだろ。過去だと競馬のくじはひとつだけ当てさせてるし、一行が解散するような事は避けさせつつ混乱させるような言動。網走への道のりを遅らせる為?
もし3人(杉元、白石、キロランケ)のうち誰かが裏切り者なら上の目的達成は更に確実なものに。杉元はないとしてまー一番怪しいのはキロちゃん。白石だと凄いけどないと信じたい。キロちゃんも信じたいけど一回裏切って帰ってくるパターンな気がする。誰も裏切り者いないのに疑心暗鬼にさせるパターンもありか。

というか、8巻は鶴見中尉出ずっぱりですね。前半江渡貝くんと変態ファッションショーで、後半は聞き上手な良い上司ですよ。振り幅。いや、前半も聞き上手ですけど、こうも違うものか。情報将校だからか生まれ持った素質なのか。聞き上手でなおかつ、人を手のひらで転がすのがうまい。
あの個人面談は何なんですかね? 中尉の部下全員対象だったんでしょうか? 谷垣の前後らしき待機してる面子がのちの裏切り者ばかりなのは谷垣が行動を共にしていたからってだけかな。日露戦争後でしょうし金塊探しに動き出す前に裏切り者の目星をつける為の面談だったのかな?

しかし、どの話の流れからカネ餅が出てきたんだろう。とりあえず故郷の話でも聞かせてくれないか、みたいな事を言われたんですかねえ。なんだかんだ寄せ集め集団である第7師団、故郷の話はある意味鉄板ネタなのかも。
話は逸れますがカネ餅でググって出てきたバター餅が超うまそう。ケン○ンショーで見たやつと同じかな?あれもうまそうだったな、ぽたぽたで柔らかそう。カネ餅は正直なところバター餅に取って代わられた様子から察するにすごく美味いものって感じではなさそうです。いや、食ったことないから分かりませんが。ゴールデンカムイ軒第二弾あったらカネ餅食べたい。

カネ餅の話から家族の話に。別に中尉が促して家族の話になった訳じゃない。多分谷垣は機会があれば誰か信頼出来る人にこの事を話したかったんだろうな。もしかしたら妹がなくなってるとか故郷を捨ててきたとか軽くなら話した事があったのかもしれない。

しかし賢吉のエピソードで思い出すのが過去の杉元。どこがって肝心な事言わないで勝手に家燃やしていなくなった独りよがりところとか、家族を亡くした原因は疱瘡と結核という人へ伝染る病気な事とか。この事で谷垣家や賢吉本人の実家にどれだけ迷惑かけたか考えると……。言葉足らずというか、水臭いというか、身内なんだし話せばいいのに。いや、当時の発症者への仕打ちを考えるとそんな簡単な事じゃないし、いなくなった本人も相当辛いでしょうけど、それでも……うーん。そんな似たような境遇の二人が同じ小隊ってのがドラマですね。方言とか故郷の話をしている二人を想像するとちょっと涙が出そうです。カネ餅食いながらも笑顔で話してる杉元を見るに、その時も笑顔で二人は楽しく会話していたんじゃないかな。
賢吉はまさしく戦場へは死ぬ為にやってきたんでしょう。ロシア兵の自爆攻撃を止める為に飛び出したんですよね。谷垣がいるなんて知らないで。どうせ死ぬなら誰かを助けて死にたかったのか。動機は明らかにフミを殺した罪悪感ですね。一方杉元は絶対に死にたくない気持ちから(そういや、杉元のこういう気持ちって家族の分まで生きてやるとかそんな考えあっての事なのかな?)『不死身』に。境遇は似ていても真逆の結果となりました。

今まで電子書籍だったので紙のコミックを買うまで知らなかった表紙カバーのアイヌ語の一文。この巻は役目について。(追記 9巻も同じ言葉だったので毎巻同じようです。つまりこれがゴールデンカムイ全体のテーマなんですね。電子版だけだったらテーマ知らずにだらだら書いていたのかと思うと恥ずかしいです。)
役目を見つけ死んだ賢吉(と江渡貝くん)。そして自分の役目を探していた谷垣は世話になったフチ達の為に動く。鶴見中尉じゃなくて、フチ達。ここは重要。仮にも必要だって言ってくれた(部下としてだけども)人じゃなくて、母親や家族の温かさを思い出させてくれた人への恩返しとして。
なんというか前にも書きましたが、この漫画はせっかく激戦を生き延びたのに死に損なった感に苛まれている男達の話でもあるんじゃないか、と思います。散りぬべき時知りてこそ~(ガラシャの辞世の句)じゃありませんが、役目を見つけて満足して死ぬか、それとも再び立ち上がり生きて役目を果たすのか、罪悪感のようなものに苛まれたまま一生もがくのか、主要キャラの場合なんらかの決着は見せてくれそうです。私は人間生まれたからには生きるという事が全員に与えられた役目なんじゃないかと思ってるので独りよがりで満足して死なれるよりいけるところまで生ききって役目を果たしてほしいですね。凶悪犯罪者以外は。つってもこの漫画、極悪人だろうが満足して死ぬし、善人でもあっけない最期を迎えたりするしなぁ…。あ、現実もそうですね…。
ググった時に知りましたが、日露戦争後は神経衰弱になる(精神を病む)人が大幅に増えて大変だったようです。集団ノイローゼみたいなものに兵士のみならず国民全体が。行かなかった人でも病むのだから行った人はそりゃあ……。それだけ大きな出来事だったんだな。

この回想のシーンはどれも他のところより絵が気合入ってる気がします。特に戦場のシーン。修正されたところも多いのかな。賢吉を塹壕につれてきた時にそいつはもうダメだって言ってるのは尾形? ちょくちょく尾形や裏切り者仲間の3人や二階堂兄弟や月島さんがいて楽しいというか嬉しいというか。おでこふっ飛ばされる前の鶴見中尉もいます。(なぜか傷がないと思いこんでいたけど既に傷あり杉元でした、訂正)杉元はここでも短いながら食レポあり。

谷垣がインカラマッちゃんの占い信じていなくて良かったなぁ。ここがあるのとないのとでは全然違う。
ま、マジックや超能力なんて信じてないって言う人が後でまんまと引っかかるように、まだどうなるか分かりませんけどね。妹の事を当てられた時はめっちゃ動揺してたし。あと、信じてないにしろ谷垣を利用する為に連れ出すって目的はちゃんと果たしてるんだよね、インカラマッ。
この同行がインカラマッと鶴見中尉の繋がりに気づく最初のきっかけになったら谷垣ニシパかっこいい。既にカッコイイけど。

結果的に鶴見中尉(とインカラマッちゃん)にまんまと利用されてますが、今後二人が遭遇した時、谷垣は鶴見中尉に銃を向けられるんでしょうか。心許してないとあんな話、いくら上司相手とはいっても話せませんと思うんですよ。かなり心酔してますよね。と言ってもフチ達の為に動き出した今の谷垣なら、もし彼女達へ危害を加えるような相手には躊躇なく銃を向けられるでしょう。

関係ないけど8巻のオソマちゃん可愛くね? というかどんどん可愛くなってる。これが恋のパワーというものか…。
なにげに命の危機から救ったり(遠くから尾形に打たれかけた時)やナイスアシスト(二瓶の形見の銃を持ってくる)をこなしてきたオソマちゃん。きっとあのテクンペもオソマちゃんの代わりに谷垣ニシパを助けてくれるはずさ。うーん、6歳より下で好きな人の為に刺繍頑張る女の子……素敵やん?